1月の読む料理 鴨の治部煮

越冬のため、シベリアから日本へ渡ってくる鴨は、冬の味覚として、日本人に親しまれてきました。今回は、その鴨肉を使った石川県の伝統的な郷土料理「治部煮」をご紹介しましょう。薄くそぎ切りにした鴨肉に小麦粉などをまぶし、すだれ麩や季節の野菜などとともに、とろりとした煮汁でいただきます。

石川県の加賀地方には「坂網猟法(さかみりょうほう)」という鴨猟が、江戸時代から現在まで受け継がれています。

越冬のためシベリアから飛来した鴨は、脂が良質で野趣ある味。「治部煮」は、この天然の鴨肉をそぎ切りにして小麦粉やそば粉などをまぶし、酒、みりん、醤油などで調味した煮汁で煮たもので、生麩(なまふ)の一種であるすだれ麩やネギ、セリなどを加え、おろしワサビを添えます。

鴨肉に粉をまぶすのは、旨味を閉じ込めると同時に、汁にとろみをつけて温かさを保つため。料理名の由来には、豊臣秀吉の兵糧奉行(ひょうろうぶぎょう)だった岡部治部右衛門(おかべじぶえもん)の考案説、材料を煮る音が "じぶじぶ " と聞こえたという説などさまざまあるようです。

加賀地方は、やわらかく煮くずれしにくい「源助大根」、葉裏が紫色で、ゆでると粘りが出る「金時草(きんじそう)」など地元産の野菜(加賀野菜)が豊富。日本海の海産物にも恵まれた食材の宝庫です。

この好環境のもと、治部煮をはじめ、加賀レンコンを使った「はす蒸し」、タイにおからを詰めて蒸した「鯛の唐蒸し(からむし)」など独特な料理が育まれてきました。これらの郷土の味は、現在、加賀料理と呼ばれています。

料理検定公式問題集&解説【2級】より

「読む料理」最新号に戻る
特典いろいろ団体受検 合格者特典 受検者の声 FAQ